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月別アーカイブ: 2025年8月

第16回JAST雑学講座

皆さんこんにちは!

JAST株式会社、更新担当の中西です。

 

~“選ばれる非常用発電機メーカー”~

 

需要は不定期、納期は短期、要件は厳格。**勝ち筋は「標準(A4)×品質(検証)×安全(EHS)×データ(DX)」**です。
製造・設計・調達・サービスの横串で、利益と信頼を同時に上げる実装をまとめます。


1|プロダクト“骨格”のモジュール化

  • プラットフォーム:エンジン出力帯・発電機フレーム・制御盤・エンクロージャを共通寸法/穴で統一。

  • 部品統合:燃料/冷却/排気のユニット化で工数と不良点数を圧縮。

  • 制御標準自動起動・段階起動・アラーム共通FB/ライブラリ化。

  • I/F規格:現場は**J1939/Modbus/HTTP(S)**など複数。ゲートウェイ標準で現調をラクに。


2|“実環境”で勝つ検証計画

  • FAT:無負荷・定格・段階負荷(25→50→75→100%)負荷急変の電圧/周波数回復時間を計測。

  • エコー試験UPS・モーター始動の代表サンプルで突入耐性を確認。

  • 環境:高温/低温/湿度/塩害・粉じんの連続耐久

  • EOL振動・騒音・漏れ、トルク管理のトレーサビリティを残す。


3|規制・適合のマトリクス化

  • 排ガス・騒音・耐震・電気安全は地域差が大。要件→設計項目→試験→証憑を1枚に。

  • ラベル/取説危険表示・接地・換気をピクト中心に多言語で。


4|EHS(安全・衛生・環境)を“現場仕様”に

  • 製造:燃料・オイル・冷媒のSDSロックアウト/タグアウトの徹底。

  • 試験室排気拡散・換気・防音、高温部の接触防止

  • 現地工事:重量物の吊り・据付、転倒/落下/火気のリスク評価。

  • 環境漏洩受けパン・防油堤、塗装・防錆のライフサイクル視点。


5|調達・在庫:止めないサプライチェーン

  • 二重化:エンジン・オルタネータ・制御器の複数調達先でリード短縮。

  • 安全在庫長納期品(AVR/制御器/消音器)は需要平準化モデルで算定。

  • 陳腐化管理:代替品の適合試験プロトコルを先に作る。


6|製造ライン:工数と品質を同時に下げる ⚙️

  • キッティング:台車1台=1台分の工具・部材・図番。探す時間ゼロ。

  • ねじトルクの記録電動トルクレンチ+シリアル締結履歴を保存。

  • 配線の“型”:ワイヤ番号・ルート・曲率半径を写真標準化。

  • 試験データの自動保存:シリアルと紐づく証明書を出荷時に生成。


7|制御・通信:つながる安心

  • イベントログ起動/停止/警報/アラーム解除を時系列で保存。

  • 遠隔監視:燃料・油圧・水温・バッテリ・室温・発電量をダッシュボード化。

  • サイバー対策認証・暗号化・権限分離既定パスの廃止は初期設定で。


8|アフター:予防保全を“売る”

  • パッケージ:年次点検+ロードバンク+油水分析のサブスク

  • 予兆電流/温度/振動/クランキング時間のトレンドで交換前倒し

  • SLA一次応答○h/駆付け○hを明確にし、代替機・レンタル手配も用意。

  • 教育:10分動画×数本(起動試験・燃料管理・ATSテスト)。


9|KPIダッシュボード(例)

  • OTD(納期遵守)/FPY(初回合格)/Warranty率

  • EOL試験不合格Top5現地停止要因Top5

  • 平均起動時間電圧・周波数回復時間

  • SLA達成率契約更新率顧客満足(★)


10|“30日で変える”改善ロードマップ ️⚙️

  • Day1–7:プラットフォームとI/Fの棚卸→A4標準

  • Day8–14:FAT/エコー試験の自動記録を立上げ

  • Day15–21:ねじトルク・配線写真のトレーサビリティ運用

  • Day22–30:遠隔監視ポータルβ公開/アフターのサブスク設計


11|見積・提案の“見える化”

  • 一枚図:設置寸法・吸排気・防音・据付図

  • 性能表:連続/非常時、段階負荷・過渡応答、騒音、燃費

  • 適合:排ガス・騒音・耐震の証憑リスト

  • 保守:点検周期・SLA・消耗品セット・教育メニュー


まとめ ✨

“選ばれるメーカー”は、モジュール化×徹底検証×EHS×DX同じ良さを速く繰り返します。
計画で勝ち、記録で守り、データで磨く。 停電のその時に“動く一台”を、確実に届けましょう。⚡

第15回JAST雑学講座

皆さんこんにちは!

JAST株式会社、更新担当の中西です。

 

~停電に“強い施設”をつくる~

 

停電はいつ来るか分からない——だからこそ、非常用発電機は“最後の保険”です。
ここでは初めて導入・更新を検討する方向け
に、容量選定→燃料→設置→電気連系→点検まで、失敗しにくい進め方をひとまとめにしました。📝


1|まず“止めたくないもの”を書き出す ✍️

  • 命に関わる負荷:非常照明、消防・排煙、医療機器、通信コア 等

  • 事業継続負荷:サーバ/ネットワーク、冷凍・冷蔵、POS、セキュリティ 等

  • 後回し可:一般照明一部、コンセント一部、快適負荷(空調の一部 など)

👉 負荷を**Tier(優先度)**で色分けすると、後の設計・運用がスムーズに。🎨


2|容量は「kW」だけで決めない ⚙️

  • 始動電流/一時的kVA:モーター・ポンプ・チラーは立上げの一瞬が最大負荷

  • UPSとの相性:オンラインUPSは高調波/突入に注意。メーカー適合表で確認。

  • 余裕率:将来増設や夏/冬ピークを見込み、20〜30%のヘッドルームを。

  • 同時始動を避ける:順次立上げ(シーケンス)で小容量でも安定に。⏱️


3|燃料の選び方 ⛽🌱

  • ディーゼル:起動が速く、高出力・高信頼。燃料保管・防災対策が必須。

  • ガス(都市ガス/LPG):クリーン&長時間向き。供給停止リスクを地域で確認。

  • バイオディーゼル混合:適用可否はエンジン側の許容範囲を要確認。

💡連続稼働時間は24〜72時間シナリオで検討。燃料補給契約輸送路までセットで備えるのがコツ。


4|置き場所と防災・騒音対策 🏗️🔇

  • 屋外エンクロージャ:防雨・防音・防錆。吸気/排気のショートサーキットに注意。

  • 屋内設置:給気・排気ダクト、発熱の排熱・換気、煙突の離隔を確保。

  • 耐震・止水:アンカー・基礎・免震部材、浸水想定高より上への設置。

  • 振動・騒音:防振ゴム、消音器、壁面の反射対策。近隣説明も大切。🙇


5|電気連系の鍵:ATS・アーシング・選択協調 🔌

  • ATS(自動切換):停電検知→自動起動→負荷切替→復電後のクールダウン復帰

  • 接地・中性線単一接地点の原則。誤接地は漏電・誤作動の元。

  • 選択協調:ブレーカの時限・遮断値を整え、必要最小限だけ落ちる設計に。

  • UPS/空調との段階起動負荷の波を平準化し周波数・電圧安定へ。


6|“起動時間”と信頼性 ⏱️🧠

  • 多くの施設は数十秒以内の起動を目標にします。

  • 予熱(ジャケットヒータ)常時充電器ヘルシーなバッテリが立上げ成功の三種の神器。🔋


7|点検・試験は“カレンダーで回す” 📅

  • 月次:自動起動試験(無負荷)、バッテリ電圧、目視(漏れ/緩み/腐食)。

  • 四半期実負荷 or ロードバンクで負荷試験、排気色・異音確認。

  • 年次:燃料タンク点検(水分・スラッジ)、冷却水・オイル交換、配線増し締め。

  • 記録:運転ログ・警報・保守結果をダッシュボードで見える化。📊


8|遠隔監視とアラート 📡

  • 監視項目:燃料残量・油圧・水温・バッテリ・充電器・室温・漏電

  • 通知ルール:警報の優先度/一次応答者/エスカレーションを明確に。

  • 演習:年1回はブラックスタート訓練で手順を固める。🧪


9|発注前チェックリスト ✅

[ ] 優先負荷リストと将来増設の有無
[ ] モーター・UPSの始動/突入条件
[ ] 連続運転の目標時間と燃料補給計画
[ ] 設置場所(耐震・止水・換気・騒音)
[ ] ATS方式・選択協調・接地方式
[ ] 点検頻度・ロードバンク計画・遠隔監視


まとめ ✨

非常用発電機は**“選ぶ→置く→つなぐ→回す”**の4工程で決まります。
数字で要件化→段階起動→定期試験。この型で、停電時も“いつもどおり”を守りましょう。⚡🛡️🏢