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第15回JAST雑学講座

皆さんこんにちは!

JAST株式会社、更新担当の中西です。

 

~停電に“強い施設”をつくる~

 

停電はいつ来るか分からない——だからこそ、非常用発電機は“最後の保険”です。
ここでは初めて導入・更新を検討する方向け
に、容量選定→燃料→設置→電気連系→点検まで、失敗しにくい進め方をひとまとめにしました。📝


1|まず“止めたくないもの”を書き出す ✍️

  • 命に関わる負荷:非常照明、消防・排煙、医療機器、通信コア 等

  • 事業継続負荷:サーバ/ネットワーク、冷凍・冷蔵、POS、セキュリティ 等

  • 後回し可:一般照明一部、コンセント一部、快適負荷(空調の一部 など)

👉 負荷を**Tier(優先度)**で色分けすると、後の設計・運用がスムーズに。🎨


2|容量は「kW」だけで決めない ⚙️

  • 始動電流/一時的kVA:モーター・ポンプ・チラーは立上げの一瞬が最大負荷

  • UPSとの相性:オンラインUPSは高調波/突入に注意。メーカー適合表で確認。

  • 余裕率:将来増設や夏/冬ピークを見込み、20〜30%のヘッドルームを。

  • 同時始動を避ける:順次立上げ(シーケンス)で小容量でも安定に。⏱️


3|燃料の選び方 ⛽🌱

  • ディーゼル:起動が速く、高出力・高信頼。燃料保管・防災対策が必須。

  • ガス(都市ガス/LPG):クリーン&長時間向き。供給停止リスクを地域で確認。

  • バイオディーゼル混合:適用可否はエンジン側の許容範囲を要確認。

💡連続稼働時間は24〜72時間シナリオで検討。燃料補給契約輸送路までセットで備えるのがコツ。


4|置き場所と防災・騒音対策 🏗️🔇

  • 屋外エンクロージャ:防雨・防音・防錆。吸気/排気のショートサーキットに注意。

  • 屋内設置:給気・排気ダクト、発熱の排熱・換気、煙突の離隔を確保。

  • 耐震・止水:アンカー・基礎・免震部材、浸水想定高より上への設置。

  • 振動・騒音:防振ゴム、消音器、壁面の反射対策。近隣説明も大切。🙇


5|電気連系の鍵:ATS・アーシング・選択協調 🔌

  • ATS(自動切換):停電検知→自動起動→負荷切替→復電後のクールダウン復帰

  • 接地・中性線単一接地点の原則。誤接地は漏電・誤作動の元。

  • 選択協調:ブレーカの時限・遮断値を整え、必要最小限だけ落ちる設計に。

  • UPS/空調との段階起動負荷の波を平準化し周波数・電圧安定へ。


6|“起動時間”と信頼性 ⏱️🧠

  • 多くの施設は数十秒以内の起動を目標にします。

  • 予熱(ジャケットヒータ)常時充電器ヘルシーなバッテリが立上げ成功の三種の神器。🔋


7|点検・試験は“カレンダーで回す” 📅

  • 月次:自動起動試験(無負荷)、バッテリ電圧、目視(漏れ/緩み/腐食)。

  • 四半期実負荷 or ロードバンクで負荷試験、排気色・異音確認。

  • 年次:燃料タンク点検(水分・スラッジ)、冷却水・オイル交換、配線増し締め。

  • 記録:運転ログ・警報・保守結果をダッシュボードで見える化。📊


8|遠隔監視とアラート 📡

  • 監視項目:燃料残量・油圧・水温・バッテリ・充電器・室温・漏電

  • 通知ルール:警報の優先度/一次応答者/エスカレーションを明確に。

  • 演習:年1回はブラックスタート訓練で手順を固める。🧪


9|発注前チェックリスト ✅

[ ] 優先負荷リストと将来増設の有無
[ ] モーター・UPSの始動/突入条件
[ ] 連続運転の目標時間と燃料補給計画
[ ] 設置場所(耐震・止水・換気・騒音)
[ ] ATS方式・選択協調・接地方式
[ ] 点検頻度・ロードバンク計画・遠隔監視


まとめ ✨

非常用発電機は**“選ぶ→置く→つなぐ→回す”**の4工程で決まります。
数字で要件化→段階起動→定期試験。この型で、停電時も“いつもどおり”を守りましょう。⚡🛡️🏢